8人が本棚に入れています
本棚に追加
ジルはロック達に外に出るように言った。他の患者の手前、外で話した方がいいと判断したのだろう。
病院の裏手に移動した一行は、これ迄の経緯をジルに話した。
「なるほど……そちらの御老人の為にわざわざライフシティーに……」
ジルは腕組みをし、険しい表情をしている。
マキは言った。
「医療費が高額なのは知っていましたが……ここまでとは思わなかったので……」
エリスが言った。
「どっか他にいい病院はありませんか?もう少し費用のかからない……」
ジルは難しい表情で言った。
「う~ん……紹介したいのはやまやまですが……ライフシティーの治療費は一律でして、どこも同じなのですよ」
するとユイが言った。
「じゃあさっ!院長の権限でまけてよっ!」
ユイの突然の値切りに、ジルは驚いた表情をしたが、すぐに首を横に振った。
「残念ですが……それは院長の権限で出来る事ではないのです」
ロックが言った。
「どういう事だ?アンタ院長だろ?」
「この『国』の法律で決まっているのです……破れば私達にも罰が下ります」
ジルの『国』と言う言葉に、ロックは眉間にシワを寄せた。
統一戦争が終わって、ライフシティーも含めて国として独立していた地域は、全てアデルの管理下に置かれ、国ではなく地域として残された。
よって、ジル言う『国』と言う言葉に、ロックは違和感を持った。
「国だと?……アデル管理下の地域は国と名乗れないはずだが?」
ジルはロックを険しい表情で見た。
「アナタ……色々詳しいみたいですね」
ロックは耳をほじりながら言った。
「誰でも知ってんだろ?そんな事より治療費まけろよ」
ロックにまで値切られたジルは、溜め息をついて皆に言った。
「仕方ありませんね……言ったところで引き下がりそうにありませんから……少し待っていて下さい」
そう言うとジルはロック達を残して病院に入っていった。
ユイは期待を膨らませた感じで言った。
「まけてくれんじゃないっ?値切り成功だよっ!」
エリスが言った。
「そんな感じだったかなぁ?」
最初のコメントを投稿しよう!