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皆でああだこうだと言っている内に、ジルが戻ってきた。
「お待たせしました」
ジルはそう言うと、持っていた封筒をロックに渡した。
ロックは不思議そうにそれを眺めた。
「なんだこれ?」
ジルはロックに言った。
「これを持って町の南に行ってください……住所は記載されてます」
エリスが言った。
「封筒の中身は?」
ジルは苦笑いした。
「紹介状です。私の名前で書いてあるので、そこの住所にいる医者に見せれば……格安で診てくれます」
マキがジルにお辞儀をした。
「無理言ってすみませんっ」
ジルは笑顔で答えた。
「気にしないで……。本当は私が診るべきなのですが……法が許してくれない。ただし、他言無用でお願いします」
ジルが他言無用と言う事は、ジルにとって多少なりともリスクが伴うという事だ。
ロックが言った。
「いいのか?」
ジルは再び苦笑いした。
「『医療は平等であるべき』我が一族の家訓です。私も複雑なのですよ……。ですからそこに行ってください……悪いようにはならないので……それでは」
ジルはそう言うと、再び病院に戻った。
ロックは封筒の裏にある住所を見て言った。
「とりあえず行くしかねぇか……」
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