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④
ロック達はジルから預かった紹介状を頼りに、町の南へ来ていた。
南へ向かえば向かうほどに、壁の大きさに圧倒される。
灰色の巨大な壁は、まるで「この先は別の世界だ」と言っているようなオーラを醸し出していた。
壁の梺にはロックが言っていたように川があった。
川の幅は約20mと言ったところか……巨大な川で崖に囲まれている。
この巨大な川は海まで繋がっており、ライフシティーを正に真っ二つに割っている。
そんな巨大な川には一本だけ大きな橋が掛かっており、橋の真ん中に関所のようなものが存在していた。
「まるで国境だな……」
ロックが言うように、国境のような壁は「壁から先はライフシティーでない」と言わんばかりの、ふてぶてしさがあった。
ロックはユイとマキに言った。
「こっから先は俺とエリスで行く。お前らはウィングで待ってろ」
ユイは怪訝な表情で言った。
「なんでさぁ?アタシも行きたいのにっ!」
ロックはユイに言った。
「こっから先は治安が180℃変わるぜ……病人のバァさんには適してねぇよ。だから俺らが先に様子を伺う」
「だったらアタシも……」
「ユイ……私達は戻りましょう……」
引き下がらないユイをマキが宥めると、マキはロックにお辞儀をした。
「ロックさん、エリスさん……よろしくお願いします」
「姉ちゃん……」
納得のいかないユイをスルーして、エリスはマキに言った。
「任せといてマキさん……お医者さん見つけてくるから……」
「そんじゃ行きますか……」
エリスとロックは橋を渡り、関所を目指した。
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