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「たぶんこの小屋だろな……」
ロックの目線の先には白いプレハブ小屋があった。
看板などは何もなく、医者がいるような場所には見えない。
「ほんとにあってるの?」
エリスは懐疑的な表情だ。
すると小屋の中から大声がした。
「きっ、貴様っ!何を……うわぁーっ!」
ドガラッシャーンッ!と凄まじい音と共に、プレハブ小屋の扉を破壊して、中から男が吹っ飛んできた。どうやら治安隊のようだ。
飛んできた男は、勢いよく砂利道に転がり、腹を抑えて苦悶の表情をしている。
エリスは目を見開いた。
「なっ、なんなのっ!?」
するとプレハブ小屋の中から、ヨレヨレの白いカッターシャツに、黒のネクタイをした男が出てきて、男に言った。
「さっさと帰りやがれっ!ダァホがぁ……」
腹を抑えた治安隊の男は、ネクタイの男を睨み付けた。
「きっ、貴様ぁっ!我々にこんな事をして……ただで済むと思っているのかっ!?」
ネクタイの男は右分けの黒髪を掻き上げて、治安隊の男を睨み返した。
「あんっ!テメェ……俺をなめてんのか?」
男は治安隊に詰め寄り、胸ぐらを掴み上げた。
「治安隊(けいさつ)が怖くて……」
「ひっ、ひぃーっ!」
胸ぐらを捕まれた治安隊は、怯えきっている。
「このダウンタウンで……町医者ができっかよぉーっ!」
男はそう叫ぶと、治安隊を勢いよく投げ飛ばした。
「うわあぁーーーーっ!」
投げ飛ばされた治安隊は、頭から勢いよく、道端のゴミ溜めに突っ込んで、そのまま意識を失った。
男は手をパンパンと叩いて、ネクタイを伸ばした。
「このギル・マグワイヤーを……なめてんじゃねぇぞっ!ダァホがぁ……」
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