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大バァの言う『錬金術』という言葉に、一同はそれぞれ顔を見合わせた。
それは皆がそれぞれ考えてもいなかった事だ。
するとジンが先人をきって口を開いた。
「錬金術……しかしそれはあまりにも……。錬金術は『分解』と『構築』よって成り立つ……エリスの力が錬金術とすれば、何を分解し、構築している?それに錬成陣は?」
ジンの疑問も当然で、この世界の錬金術は、一つの物質を分解し、それを構築して別形状にする術だ。それに術を発動するには術士の画く錬成陣が必要だ。
すると大バァは、ジンをその細い目で見た。
「そんな事はわかっておるわいっ……可能性の話じゃよ……」
するとロックが険しい表情で言った。
「バァさんの言う可能性を考えるとして……『代価』は何だ?」
代価……分解と構築を繰り返す錬金術にとっては、媒体となる物が必要になるのだが……。
ロックの言葉にジンやマキは表情を曇らせた。ユイはロックのいっている意味がよくわからないようだが……。
「エリスの力が錬金術と考えた時に……その代価は何なんだ?」
ロックの問に誰も答えようとしない……考えられる答えはおそらく皆が持っていただろうが……答えたくなかったのだ。
エリスの力が錬金術とするならば……その代価は『エリスの生命力』……。
エリスが力を使った後……疲れているように見える事も、それが理由ならば辻褄が合う。
するとジンが言った。
「エリスの力が錬金術かどうかはさておき……力の使用は控えた方がいいな……」
ジンの提案に、ロックは頭を掻きながら言った。
「エリスに力を使わせてんのは俺だ。どっかでアテにしてたかもしれねぇ……」
「アンタでもそんな事思うんだ……」
反省しているロックの様子を見て、ユイは驚いた様子だ。
するとそんなユイにマキは言った。
「それほど深刻な問題なのよ」
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