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②
……飛空挺ウィング甲板……
大バァの話にあらゆる可能性を見出だし、少し戸惑い気味のロックとエリスは、大空を駆けるウィングの甲板で、ただ風を受けていた。
綺麗な金色の髪を掻き上げるエリスの表情はどこか感慨深く、それを見ているロックの表情は険しい。
確信的な話ではなかったが、エリスの力の代償が生命力だった場合……多用は禁物だ。
それに探し求めているアレルガルドも、消えたという言い伝えで、エリスの心中も穏やかではないはずだ。
しかしそんなエリスは唐突にロックに言った。
「ロックは……何でわたしと一緒に来てくれてるの?」
突然の問に、今まで険しかったロックの表情は驚きに変わった。
ロックは頭を掻きながら言った。
「お前の力に興味があるって……言わなかったか?」
「はぐらかさないで……アンタ10年もアデルから出なかったんでしょ?そんなアンタが今はこうして飛んでいる。何でなの?」
ロックは顔をしかめた。
「お前の力に興味があるのは……嘘じゃねぇ」
ロックの言葉に、エリスは目を丸くした。
「似てんだよお前が……知り合いに」
「その人は?」
エリスの問に、ロック表情は暗くなった。
「死んだよ……統一戦争でな……」
「ごめん……」
深く聞きすぎたと思ったエリスは、ロックに謝ったが、ロックは軽く笑った。
「へっ……気にすんな。だからお前に付いていく理由はそれだよ」
エリスはロックの感慨深い表情を見て、これ以上質問ができなかった。
しかしエリスは感じていた。
(言いたくないんだ……。表情を見ればわかるよ……)
そんなエリス気持ちを、知ったかどうかは定かではないが、ロックはエリスに言った。
「エリス……旅を続けろよ。見届けてやるよ……俺が……」
エリスはロックの初めて見せる優しい表情に、少し胸が熱くなった。
「ロック……」
いつもの悪い笑顔ではなく、包み込むような優しい笑顔……。
(いつか……話してくれるよね……)
エリスはロックに言った。
「ロック……わたし……見つけてみせるよ……アレルガルドを……」
ロックはエリスの頭をポンと叩いた。
「『わたし達』だろ?」
エリスは笑顔で頷いた。
「うんっ!」
(ばぁちゃん……わたし……仲間ができたよ。とっても大切な人達……わたしの仲間……)
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