第一章 別れる世界

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「勝手に決まったようだが……俺は転生するしかないのか?」 「そうなる。それにしてもお前のその根暗と言うか、大人びていると言うか……どうにかしてやるか。うむ、わかった。楽しく過ごせる様に手を打つか」  此処でも勝手に自己解決をして行く閻魔に、もう手に負えないと、首を左右に振る。 「それではお前の行先だが、何か希望あるか?」 「希望って……何か? 闘いの無い世界とかか?」 「それは無理じゃ! 生物がおる世界では争いは必ず発生する。平和な期間が短い長いは別として、争いあるのは理なのだ」  言われて納得するのは、自分達の世界。自国の表向きは妖魔こそおらずだが、その表では世界各地で争いがいずれかで起きてる。  内乱、自国防衛と色々理由もはあれど、やはり自分の言った事は夢物語なのかもしれない。 「それだと俺の希望とは……具体的に何を希望してくれるのだ?」 「うむ、お奨めは魔法がある世界じゃな」 「魔法がある世界……? 本当にそんな世界あるのか?」 「妾の管轄では無いが、世界なぞ色々存在してる。魔法が存在する世界、機動兵器が主力の世界、人間が滅んだ世界、陰陽師達が居ない世界等々、お主ら人間が望む世界はあるものじゃ」 「……」  此処まで言われれば、嘘などではなさそうだ。あるには、あるのだろう。その様な世界が。しかし、そんな世界で果たして方術は必要なのか? 最大の疑問は直ぐに質問にされる。 「何故そんな世界に俺は行かないとならない?」 「――ギクッ。いや、頑張っていた功績の報酬としてだな~」 「建前はそれか。本心はなんだ?」 「た、建前とはなんじゃ! 妾はだな……」 「やれやれ……」  思い出す様に、胸元のポケットを探せば……死亡した時の装備をどうやらしているのだと気付く。  取り出したのは一枚の札。その動作に暗闇天女が声を出す。 「神爪よッ! おかしな真似をすれば直ちに捕らえるぞ!」 「別に攻撃しようなんて思ってない。『方角に従い、導きの言霊、此処に紡がん』」  詠唱に合わせ、札がぼんやり光を灯す。此処でもチカラを使えるは意外であったと思いながらも、閻魔を再び見ながら問う。
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