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かくして、勝手に色々やられた挙げ句、色々聞きたい所であったが、閻魔は満足げに準備を終えた。
「――これにて完了じゃ! 後は実践あるのみじゃろうて。なので……シトよ。まずは行って来るが良い」
「まだ……聞きたい事があるのだが……」
「いや、此方も時間が押しておる。詳しくは後程現地で確認してくれ。では……」
すると手には木製の小槌があり、それを勢い良く机に叩きつける。谺する木製同士の音が当たりに響き渡ると同時に……
「――くっ!」
足元に現れた円陣に対して、身体が反応するが、足が沼地にハマる様に吸い込まれて行く。
「大丈夫じゃ、それは移動の術である。シトよ、第二の余生を今度は楽しむのじゃぞ」
上目遣いの視線が何処となく甘い表情で、不覚にもその姿に目が離せなくなる。ゆえに、その姿がゆくりと見えなくなるその直前まで見てしまい……その後は、頭に突き抜けるノイズが痛みに似ており、一瞬にして意識が遮断された。
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