第二章 異世界と自分の価値観

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 漸く閻が納得して立ち上がってくれ、まずは一段落。そう思い周りを見渡すが、辺り一面、見事な緑が広がり、道と思われる一本が唯一、町に繋がるであろうと思われる。 「さて、漠然と此処の世界に来たけど……まずは宿を探すとするか。此処から街は近いのですか?」 「どちらの道に進んでもあります。距離的にはどちらも変わらない感じになります」 「中間地点か……街の特徴的にはどうなんですか?」 「山脈に囲まれた都市と、湖がある王都となります」 「王都……実際に見て見るのも良いものか知れないな。そちらに向かっても良いですか?」 「シト様の思うがままに。それと、わたしへの言葉使いは、もっと命令口調で構いません」  そうは言われて、人間は直ぐに改善出来るものか。それ相応の生活してきたならまだしも、しかも女性に命令と言われるが、ハードルが高い。 「……慣れるまで勘弁して下さい。では、その王都へ向かいましょう」  閻はいまいち納得行ってなさそうだが、早速案内する様に、街道を歩み出した。  歩きながら、シトは閻に質問をする事で、この世界について学ぼうとする。この世界レボルーヌについての歴史だが、四つの魔法属性に別れており、各納める地区によって魔法属性のシンボルがあるそうだ。大抵は、領土事にどれかに属している。  魔法属性と呼ばれるのは『火』『水』『風』『土』 の四つで、現在居る街道は、レイドラン大陸と呼ばれる『土』をシンボルにする地区らしい。  各大陸には、それらを統括する王国があり、同シンボル国同士は互いに連携し、友好関係を保ち領土を管理しているが、それ以外のシンボル同士は対立思想が強く、互いに互いを牽制する仲でもある。 「此処でも争い……権力沙汰が後を絶たない。それがこの世界の問題か?」  感想を素直に口にはしたが、仮にそれが問題となれば、これを解決するのは並大抵の行動では正せないとしか言えない。 「確かにそれも問題でもありますが、それ以上の事態が一番問題視されております」  閻は詰まる言葉なんとか言葉にするが、これ以上の問題と言われれば、ついつい身構えたくもなる。
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