第二章 異世界と自分の価値観

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 歩きながら手を開く。その姿に、閻が不思議そうに視線を合わせて来た。それでも気にせず、シトは感覚を研ぎ澄ませると――空気が掌に集約され、紫色の炎が発生した。 「シト様? それは何を成されているのでしょうか?」 「チカラの発現を確認してるんです。閻魔からは使えるとは言われてましたが、何処まで有効かいまいち解らないので」 「紫色の炎……それは四元素に含まれないものではありませんか?」 「これは理から……と、言うか、此処では理に反する事があるのか良くわからないか。ああ、これは魔法ではないですよ?」  発言に「えっ?」と驚く閻に、もしやと思いつつ、そのうち説明すれば良いかと思ってる矢先……  ――鋭い気配が肌を刺激する。  その気配は、前方の右手の丘からであるのを理解し、視線を向けた。 「閻さん? この世界には妖魔は居ないのですよね??」 「はい、おりませんが……どうされましたか??」 「ならば、人に害する生物は居ますか?」 「魔物ならばおりますが……まさか……」 「多分、その様です。敵意を感じるので、攻撃対象にされたと思います……閻さん戦闘は出来ますか?」 「一応、闘い方は心得ております。しかし……その……経験がなく」  辿々しく喋るその言い方は、本当に経験が無さそう。緊張なのか、身体がガチガチになる辺り、とてもじゃないが、戦闘など出来るとは言い難い。 「……二体の気配……さてと、なんとかやり過ごしたいのだけども……」  と、言った所で目視出来た。毛色が青い狼の容姿を持つ魔物が二体。まだ距離は遠く、その距離感からでも確認出来る身なりからすれば、二メートルはありそうだ。 「あ、あれはディーンズウルフです! こんな日中に出ているなんて!」  閻も確認するや、その名を口にして声に恐怖を乗せていた。 「……まだ見れる姿の魔物。閻さん、あの魔物を知っているのですか?」 「この世界の魔物の知識も有しております。大地を縄張りとする狼型魔獣で、人や家畜を襲い生活しており、俊敏な動きをし、狙った獲物を仕留めるのが特徴です」  震わす口調ては裏腹に、すらすら、魔物の情報か出る辺りは、流石は閻魔が選ぶ人材かと思い、小さく頷く。
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