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全員の顔色は、決して良いとは言い切れないが、これで治癒は完了した。一つ、大きく息を吐ききると……
誰より先にシトの前に出たのは、シルビナであった。
「――本当に、本当に……ありがとうございます。言葉では足りない程に、感謝しております」
瞳に溢れる涙が、頭を下げると同時に床へ落ちていく。そんな彼女を前にシトは、口を開く。
「方術師の契約、我が成した事象こそが終演の証也」
声が耳に届くシルビナが顔を上げると、シトは印を組んで優しい眼差しを送っていたのだ。
「うむ、これにて一件落着であるな」
「まあ、ふざけた呪いは終わらせたし、ティエラさんの護衛召喚、札も手に入ったので、終わりだな」
エマに言われて、確認する。やりたい事は、一通り済ませた。これでも呪いを……と、此処で「ん?」と嫌な事を思う。それを考えると、面倒になりそうなので、シトは、胸元に手を突っ込み、護符を取り出した。
神通力を整え、護符へ言霊詠唱にてチカラを付与させると、クロード達に渡す。
「呪詛は、またかかる可能性がある。それは、呪詛避けの札ですので、念の為、持っていて下さい」
クロードが不思議そうに受け取りながら、貰っても良いのかと確認すれば、シトは頷き答えた。
「また呪詛にかかれば、厄介です。俺も何度もやりたいくない。それと、代わりにと言ってはなんですが、体力回復したら他の巫女を救いに動いてくれませんか?」
えっ? とした表情浮かべるのは、この場に居る全員。その中でも、エマの反応は違う。テンション高めにしながら声にする。
「――うむ! お前様、ついに世界を救うと決めおったか! この者達をお供につけて行けば……」
「おい、誰がお供にすると言ってる? 俺は、この人達に世界を救って欲しいと思っただけだ」
「……はぁ? お前様? 何を言ってるのじゃ?」
「だから、そのままだ。クロードさん達は、まだ巫女を救う意思はありますか?」
その言葉に、クロードがシルビナ達を見た。視線で確認する様に見渡し終わると、瞳がシトへ。
「万全になれば、再びギルドにて活動再開したいと思ってます」
「なら、体力戻り次第で構いません。それも焦る事なく、世界が困らない程度にお願いします」
なんとも力の抜けた言い方を前に、リナリーがついつい笑い出す。
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