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「フフフフッ、はあ、シト君~そのなんとも言えない言い方は、どうしたの?」
「いえ、本心を言ったまでです。世界を救う柄の俺ではありません。希望は、まったりした生活ですので、大仕事は、この四人に任せたい。そう思っただけです」
「大仕事って……シト君だって、勇死病治療したってのが、大仕事だよ?」
「これは、病と言うより呪いです。それに、本当に平穏な生活が欲しいので、大仕事は、これにておしまいです」
「お前様~妾は不服じゃ。方術師なら、この世界をどうにも出来るじゃろうて」
灼熱色の瞳が、不満たっぷりに向けられる。それでも仕方ないので、軽く無視すると、余計に頬を膨らませ始めた。
何はともあれ、これで一通りの問題は、解決した。後は、依頼中の銃が完成すれば、次の国へと移動出来るんだよな。そう考え、ソファーに腰をかける。
シルビナやクロード達は、何度も治った現実を今だ確認し、ティエラもその喜びを眺めておっとりしているので、この雰囲気も悪くない。
そう、考えていると……
「うむ、そろそろ時間じゃのう。お前様、今回の成果は、大したものじゃ。しかし、お前様が動かねば、この世界は良くならんぞ?」
突如切り出したエマに「戻るのか?」と軽く問う。
「今回は、休暇が重なり長い出来たわい。今言った事を忘れるでない。それにしても……妾の乳房に触れおって」
後半は、小声なので、シトは何を言われた聞き取れず「なんだ?」と確認するが「何でもないわッ!」と罵倒が飛んで来た。
「エマ様、お戻りになるのですか?」
「うむ、土巫女よ。それに狐娘、この下僕を攻略したいならば、もっと動く必要あるぞ」
「攻略でしょうか?」
「恋いろはを知らぬ相手は、厄介だろうに。故に、教える事である」
クククッ、楽しむ口調で語り終えると、静に瞳を閉じる。すると、エマの身体が不思議な光に包まれ始め、髪色が澄んだ水色へと変化に合わせ、服装も変化が起きる。和風ベースの黒いゴズロリドレスへと変化を成して行くと……
静に瞳が開く。水色の目の色が視界を映すと同時に姿勢を正す。
「……シト様、只今戻りました」
礼の一つにすら性格を見せる閻を前にして、シトは「おかえりなさい」と気楽に声にしたが、その変化を見た一同は、唖然としていた。
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