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あまりの変化を前にして、皆の動揺が見て取れるが、リナリーは閻の前に行くと「おかえりなさい」とシト同様に、気兼ねなく挨拶をした。
それと、同時に焔鷲も仕事を終えた様に消えていたのに気付くが、まあ、いいかと思えば、冷静に閻が口を開く。
「シト様、現状把握したいので、状況説明願います」
乱れる事なく、淡々とこなす彼女は、本当に色々優秀だ。見慣れない部屋、見慣れないメンバーを前にしても動じる事がない。ならば、説明しない訳には、いかない。
それに、シルビナ達も驚きを隠せない表情。ちょっとややこしいが、リナリー達に転生者である経緯を伏せつつ、説明しないとならい。そんな配慮をしながら、説明することになった。
「……なるほど。納得致しました」
ソファーに背筋伸ばし座る閻が把握したところで、シトは、紅茶を喉に流し込む。
「クロード・ルピリアス、シルビナ・ニディアス、ランガ・グルンガイド、フィーリ・ナリガガ……ギルド登録団名“純翼の旅団”の方々でしたか」
「純翼の旅団??」
シトの復唱に、リナリーが「えっ?」と反応する。
「リナリーさん、知ってるんですか?」
「二年前……そうか。そうだよね。確かに、ギルド登録者で、王宮騎士団にも匹敵する冒険者達が居るって話……もしかして、それって……」
思い出した記憶を元に、考え直す。確かに聞いた。ギルドの高ランク魔物討伐を難なくこなす者達の集団。それが純翼の旅団であると。確かに、ここ最近話が出なかった。
「久しい名前出して頂いてありがとうございます。私達のギルド名ですね」
シルビナが、クスッ。を微笑む。
「流石、シト様です。閻が不在時にまた、方術式を人々の為にお使い頂き、閻は誇らしいです」
堂々とした言い方に、皆の前で言われると、どうにも歯痒いが、此処は、素直に黙って受け入れる事にした。
それにしても、エマも戻り、漸く平和が訪れので、そろそろ宿屋に戻ろうかと、口にしようとしたが……
――ドンドン。何かが叩かれた音が響き届く。
なんだろう? それは、何度も繰り返し鳴る。どうやら、玄関の扉が叩かれ、来客を示していた。
シルビナが「私がいきます」と足早に出掛け行く。この後、シトは早く宿屋に戻るべきだったと思わされる事になるとは、この時点で知るよしは、無かった。
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