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謁見を断られたら、冬季使者様の滞在期間が延びるかも知れない。最初シトは、別に関係無いかと思っていた。しかし、リナリーが、それだと暫く冬型気候で固定されるのかな。と不安を声にした。
冬季使者がいる限り、つまり、滞在期間が長ければ長い程に、この天候は続き、冬の期間が長引く。
……迷惑極まりなし。それなら、いっそ、方術式で冬をぶっ飛ばしてみるか? なんて、思考も一瞬したが、それこそ、目立ってしまう。
そうなると、自然と謁見する選択肢が最善となるのだ。
そんな流れで、今は馬車に揺られて、土巫女の神殿へと移動している。クロードやシルビナに別れを告げる際、早々に体力回復させ、純翼の旅団を復活させると約束された。
俺としては、世界平穏が自身の利益へと繋がるので、彼等の復帰に大きいく期待をしつつ、思い返すのは、呪詛の件だ。
蟲業四苦の法にそっくり。いや、あそこまで術式構造が同じなら、それに違いないが、根源がこの世界に存在するのか? てっきり、魔法やこの世界の神に関わる形式かと思っていたが、使われていたのは、俺も知るもの。
……仏神の根源呪力であった。
つまり、魔王トラヴィクは、仏神のチカラを借りれた者となる。
そもそも、その世界に仏神が存在するのか。いや、方術師として、俺も使えているので、理的に引き出せる。それを使っていた魔王は……やはり、陰陽術の使い手だったのかと、予測出来る。
……陰陽師。魔王トラヴックは、もしや同じ境遇だったのか。日本の陰陽師が転生者として来たならば、可能性は考えられた。
――いや、それは無いか。何故なら、エマは言っていた。魔法世界レボルーヌにお呼びが掛かったのは、俺が初めてとなれば、日本特有の陰陽師が、転生したとは言えない。
ならば、別世界の術師による者が、転生したかも知れない。仏神は、そもそも日本特有ではないので、陰陽師以外でも信仰、術式用途している。
問題は、呪詛が一つ一つが濃厚で、簡単には解除出来ない点だ。どれ程広がり、呪われた者は何人居るのか。
残念だが、大勢いればとても一人で、解呪なんて無理だ。
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