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湖を中心にし栄える王都ディリースへ到着したのは、あの位置から徒歩で言えば数時間は必要とした。しかしながら、閻が召喚魔法と呼ばれるチカラを使い、馬を喚び出してくれたお陰で思った以上に早く到着した。
流石は王都と呼ばれるだけあって、高く頑丈な城壁に囲まれ、入口には門番が配属されている。勿論、怪しい者が入らないか確認する為であるが……
明らかにこの服装は怪しいもと思われる。和服姿の若い男女が来た。それだけで、門番に止められない訳がない。
「――待たれよ。そこ旅人よ……見た目からするに、東の大陸の者か?」
兵士の声には緊迫と疑い混じるものがある。何かあれば、腰にある剣を抜きかねない気配に、やれやれとする。
「はい。わたし達は遠い東の大陸にある日出国から流離いの旅をしております」
そこは慣れた感じに、やんわり話始める閻こそ、余裕が見え、まるで何ヵ国も旅慣れした回答。シトは余計な事を言うと拗れそうなので黙りを決める。
「日出国か、確かにその服装からすれば妥当な回答だな。我が国に訪れた理由は旅行観光か?」
「そうです。遠路長旅し、大地の恵みの加護に祝福された王都ディリースをこの目にて収めたく参りましたが、王都では何か問題が起きているのでしょうか?」
「うむ、旅路の最中では分かりもしないか。近日、我が王の聖誕際が行われる予定だ。故に、国への来訪者が多く、怪しい者の入国を防ぐ為、確認していたのだ」
「そうでしたか。それでは、身分を示せる物が必要ですね。……でしたら、これではどうでしょうか??」
取り出したのは、黒色に炎が描かれた小さなペンダント。それを見せると、兵士は目の色を染める変えた。
「――それは、四大巫女が認めし調和の証! まさか、あなたが……これはとんだ御無礼を働きました!」
一変した態度は、敬意が含まれ、声も高々となった兵士の敬礼。見ている此方も身が引き締まりそうだ。
「いいえ、どうか気になさらないで下さい。一応、本日は此方にある宿を取る予定でしたが、どちらの方に御座いますか?」
質問に対して、ハキハキと宿を在りかを教えてくれるその姿は、終始まで別物であった。閻は訊ける事が追われば、お礼を述べてから門を潜り抜け、城下町へと歩み進む。
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