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蒼き火炎に身を包む男が空中を舞い、顔面に拳叩きつけたそのコンマの世界で、手にする銃を脳天目掛け――引き金を引く。
響くのはつまらない乾いた音。同時に火薬の臭いが辺りを満たす頃……眉間には風穴が生まれる。
「……ば、……バ……か……な……」
「終わりは……儚ぃ……の…………か……」
同時に空から嫌われた二人は、その重力に従い……下へと落ちて行く。ドサッ、と音を残し地面には、真っ赤と淀む緑色の絨毯が広がり始める。
それでも二人は、微動さもする事は無かった。既に成すすべもない二人だが、最初に変化を迎えたのは、悪魔と呼ばれた者。身体が灰色に染まると、散り散りに消えるのだ。
それを朧気に眺める少年は、これで全てが終わった。そう、心より思え、自身も似た末路を辿るのだろうと消え行く中、思う。
そう、これが最後。走馬灯のなんやらは無い。終わりは、終わり。眠り落ちるのと一緒で、徐々に意識が抗う事出来ず消えて行く。
終わりはいつもそう。呆気ない程に人知れず消えるもの。
こうして、街の影でひっそりと……神爪司斗の人生は終焉を迎えた。
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