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笑うだけ笑うと閻魔は楽しいついでに説明してくれた。シトが一般的思う閻魔は“閻魔大王”であって、他に閻魔執行者と呼ばれる者が複数に存在し、閻魔の業務を代行している。
日よって死者の数は違えど、人数が多いとなれば、閻魔大王だけでは処理しきれない。そこで、閻魔の認定を受けた執行者が代わりに判決を言い渡す。
「つまり、妾は閻魔執行官である。しかし、閻魔を名乗れるからには、閻魔大王同格のチカラを持っておるのじゃ」
「……だから女。でも、今日が初めて……か」
「なんじゃ、なんじゃ! そんな不満そうな顔をしおって! そんな事すれば地獄逝きするぞ?」
「――え、閻魔様……判決には公平を……」
心配する暗黒天女がついつい口にするが、閻魔は「冗談に決まっておる」と言いつつ、唇を尖らせていた。
「公平じゃなくても構わないから判決をしてくれないか?」
「随分と荒れているな。まあ、幼心の時に両親をディアボロスに殺られて仕方ないか。……うむ、決めた! このまま極楽浄土へ送るのも良いのだか、お前の功績を讃え、もう一度余生を過ごせるようにしてやるぞ?」
「……いや、いい」
「なんじゃ~そのつれない返事は??」
「また妖魔と闘う日々ならば、ゆっくりと過ごしたい」
「良い若い者がなんとも年寄り臭いのう。良いか、お前が今度過ごす世界に妖怪はおらん」
「日本ではないのか?」
「そうじゃ! しかも聞いて驚け~今度の世界でも方術を使えるままにしてやるぞ?」
「……闘えって事か?」
「いや、闘うかはお前に任せる。この功績とそのチカラを持っておるならば、このままにしては置けない理由もあってな。なので、直ぐにそちらに向かって欲しい」
「……ちょっと待ってくれ。俺の意思はないのか?? 俺はゆっくりしたいのだが……」
「ゆっくりなんか後でも出来るし、方術師ならば何処でも余裕じゃろう?」
「人をなんだと思っているんだ。それに俺のメリットが少ない」
「……なんだか我儘じゃな。方術だけあれば余裕じゃろうに。それともアレか? お前達の世界で言う、転生チートなるチカラが欲しいのかえ?」
「転生……チート?」
勢いそのまま言われるが、小説やら漫画、アニメを見る事がなかった故に、その単語が何を差しているかわからず、首を傾げてしまう。
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