【春】2.無知のオメガ

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「オレは金嶋(かねしま) 銀虎(ぎんこ)だよ。気軽にトラと呼んでね。仲良くしよう」 「トラ……さん」 「そうそう。あとこいつもリュウで構わないよ。弟であるオレが特別に許可してあげる」 「勝手に許可を出すな」  黒髪の重たい印象があるリュウに対し、トラは髪色もガラスのような銀色で、肌も白い。彫りの深い顔や垂れ気味な金茶の瞳が異国を感じさせる。映画や物語から出てきたかのような、異質な空気を纏う男だ。  隣に立つリュウはネクタイまできっちりと締めたスーツファッションだが、トラはカジュアルなファッションだ。顔や髪の色素の薄さによく合う淡い茶色のロングカーディガンに、胸元ががっぽりと開いた白いシャツ。ライトグレーのスラックスとの境目には、何本も絡み合った革紐がゆるく巻き付いている。  堅いイメージの喋り方をするリュウと異なり、トラは軽い。だが脳天気な明るさというよりは、相手を小馬鹿にしているような印象を受ける。それは聖が彼らよりも年下であることが影響しているのかもしれない。
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