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「でも、あの学園は、ベータ専用だから僕も……！」
「そうだ。お前が通っている羽流学園はベータ専用の男子校だ――だが、そこに所属してからといって、お前がベータだと決まる訳じゃない」
「オメガの中には、思春期に初めての発情を迎えて発覚する子もいるからね」
十七歳の夏に発情期を知った、その記憶が蘇る。トラの言葉を否定することが出来ず、口の中がからからに乾いて気持ち悪い。
「学園側はオメガと思われる生徒を発見した場合、保護協会に連絡する義務がある。だが羽流学園はそれを怠り、お前を弄んだ」
「弄……ぶ？」
「性についての知識が足りていないのもお前を囲うためだろう。最もそこまで狂わせたのは、お前自身だがな」
「あんたのフェロモンは強烈なんだ。発情期に入ったオメガはフェロモンを垂れ流してアルファを呼び寄せようとするけど、あんたの場合はベータも惹きつけてしまう。だから学園のベータたちが、あんたを求めて、籠の中に閉じこめてしまったんだろうね」
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