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「あんたを抱いてきた人たちは、あんたを愛しているわけじゃない。欲望のはけ口として扱われている。それでもいいのかな?」
「愛はないです。でも僕なんかを求めてくれるんですから、その気持ちを裏切りたくありません」
何を言っても無駄だと判断し、トラは呆れ顔でため息を吐いた。
「だが相手は選んだ方がいい」
今度はリュウが口を挟む。聖を快く思っていないのか、眉間には深い皺が刻まれていた。
「理由はオメガの特徴二つ目。お前は男だが、妊娠する」
「ぼ、僕が妊娠――」
「まともな教育を受けていない世間知らずのお前は知らないだろうが、オメガは男性でも女性でも妊娠可能だ。発情期中のオメガが交尾すれば、子供なんて簡単にできるんだ」
男性の妊娠については聖も知っていたが、まさか自分がオメガの、それも妊娠可能な体だとは知らなかったのだ。
確かにおかしいとは思った。発情期中になると後孔からぬるぬるとした透明で粘度の高い液体が垂れる。最初は漏らしてしまったのかと不安になったが、潤滑油の必要がないと喜ぶ相手が多かったので、濡れていることの違和感は消えてしまっていた。説明されれば納得する。発情期中の粘液はこのためだったのだ。
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