【春】4.発情期抑制剤と体育祭

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 玉入れの話をしただけでここまで笑われるとは。二人がいなくなった後、恥ずかしさがこみ上げて頬が熱くなる。汗もぽたぽたと膝に落ちていく。  気持ちを落ち着かせるために深く息を吐くと、クラスメイトの一人が声をかけてきた。 「時田。さっきの人たちは知り合いか?」 「うん……僕の知り合いだよ」  説明する元気もなく、オメガ保護協会ということは伏せて、簡潔に答えた。 「そっか。大人で、かっこいい人たちだな。俺もあんな大人になりたいよ」 「そう……かな。かっこいい……のかな」  確かに聖よりも大人で、振る舞いも堂々としていて格好いいのかもしれない。  だがそれよりも、暑さにやられて目が回って気持ち悪い。このまま倒れてしまいそうだ。  グラウンドではまだ騎馬戦の準備中で、聖が出場する玉入れはまだまだ先である。このまま外にいるよりは、涼しい場所で体を休めた方がいいだろう。 「……ちょっと、休んでくる」  クラスメイトに告げて、ふらりと立ち上がった。
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