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倉庫に入ると、使われていないマットの上で解放された。
「……抑制剤を使わなかったんだね」
マットに身を預けたままの聖が聞いたのは、失望を込めたトラの呟き。
聖を信じていたのだろう、それを裏切ってしまったのだ。謝ろうとした聖だったが、それはできなかった。
遮るようにリュウが覆い被さったのだ。
今にも触れてしまいそうな、息づかいもはっきりとわかる距離。
にやりと口元を緩ませながら、リュウが言う。
「使わなかった理由は、コレだろ?」
するりと伸びた手が、聖の身体を撫でる。汗で張り付いた体操服を、首からずるずると下まで。
下着に隠れながらも身を固くしようとしている聖自身にたどり着いたところで、指先が止まった。
「……っ!」
「犯されたかったんだろ――望み通りにしてやる」
甘い、花の香りがする。一度嗅いでしまえば痺れてしまうほどの。
一瞬。答えに悩んだ間を、リュウは待たなかった。荒々しく聖の唇を塞ぐ。
突然の口づけに慌てて唇を閉ざすも遅く、隙間からぬるりと、リュウの舌がねじ込まれる。恋人がする甘いものとは程遠く、捕食という名が相応しい。
きっちりと合わせた歯列を舌先でなぞられ、くすぐったさに吐息が漏れた。
奪われていく。隙間を、酸素を、求めてしまうほど。
苦しさに力が抜け、開いた隙間から入り込んだリュウの舌が聖を捉えた。逃げても纏わりついては絡み、そのたびに唾液が口から伝い落ちる。
溺れている、気がした。
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