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「ね、オレもちゅーしたい」
トラの一言で、ようやくリュウから解放された。
だが完全な解放ではないのだと、トラの指先が語る。聖の顎を軽く持ち上げて覗き込むトラはにたりと怪しい笑みを浮かべていた。
「四つん這いになって。舌、出して」
学園の人間ではない彼らと、こんなことをしていいのか。かろうじて残った理性が警鐘を鳴らしている。
それでも、逃げられないのだ。冷えた眼差しが射抜くように聖を睨みつけている。抵抗はできなかった。
授業で使用するマットは柔く、手足をついて身体を支えるには心許なかったが、逆らえずに膝をつき、言われた通りの体勢で舌を出す。
情けない。なんて屈辱的なポーズなのだろう。だらしなく舌を伸ばす聖は降伏する犬と同じ。降り注ぐ視線が、聖の姿を嗤っていた。
「似合ってるよ、聖ちゃん」
犬にご褒美をあげるように、トラの舌が聖の舌先を
つつく。そのまま、余すことなく舌を絡ませて制圧していく。
唇は触れていないのに、互いに舌を伸ばして絡ませているのだ。その行為は聖の熱を目覚めさせるのに十分すぎた。荒い息が混ざり合い、どちらのものかわからなくなるたびに、下腹部へ血液が集う。
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