●【春】5.嘘の代償

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***  狂宴の幕が下りたのは、羽流学園の体育祭が終わってから数時間後のことだった。  汚れた体育倉庫の床から脱ぎ散らかした衣服を拾いながら、トラはマットの端に倒れ込むリュウに声をかけた。 「……効いてきた?」  返答はないが、リュウの手が宙でひらひらと合図を送っていることから、薬が効いたのだろうと察する。  もしも効いていないようであれば二本目を使用しなければならないと考えていたのだ。用意していたアンプルをポケットに戻す。 「それにしても……派手にヤっちゃったねぇ」 「ああ。自分でも驚いている」 「アラサー男二人が、オメガ男子高校生を強姦。なんてニュースの見出しでどうだろ」  はあ、と大げさにため息をついて、リュウも立ち上がる。その後ろには、意識を失いぐったりと横たわる聖がいた。  体操服は乱れて、泥と体液に塗れている。呼吸に合わせて肩や胸が上下しているが、眠りにつく顔は眉根を寄せたまま。苦しさを抱えたまま気を失ってしまったのだろう、申し訳ない、とトラは心の中で謝った。
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