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「保護特区はともかく、まずは病院だね。副作用が出るかもしれないから、いったん入院させて様子をみよう」
トラはスマートフォンを取り出して、部下に連絡を入れた。リュウもトラも運転できる状態ではない、部下を呼び出して聖を連れ出す手配を取らなければ。
そして学園側への連絡も必要になる。そもそも今回の件を学園側は知っているのだろうか。これも探りを入れる必要がある。場合によってはカネシマの力を使って揉み消さなければならない。
やることは多いというのに、リュウはなかなか動こうとしない。聖を見下ろし、物思いに耽ったままだ。
「リュウ。疲れているのはわかるけど、少しぐらい手伝って」
「……ああ」
苛立つトラの言葉に素っ気ない返事をした後、ぽつりと、切なげに呟いた。
「……放っておけない、気がする」
「聖ちゃんのこと? まさか、一発ヤったらハマっちゃった?」
「そうじゃない。でも、こいつの瞳が――」
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