1585人が本棚に入れています
本棚に追加
【春】2.無知のオメガ
目覚めた時、そこは見知らぬ部屋だった。馴染みのない天井から察するに寮の自室ではない。
重たい体をゆっくり起こし改めて確認をすれば、消毒液の臭いが鼻に沁みる。さらに、白で統一された内装やパイプベッド。手には点滴のチューブが繋がれていた。
辺りを見渡しながら、聖は意識を失う前のことを思い返す。倉庫にやってきた二人組や絶望していた理事長の顔――行為の跡が残っているのではないかと、胸元や足を見るがあれは夢かのように綺麗になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!