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【春】1.月光の使者たち
蝶が花を犯すのか、花が蝶を犯すのか。
花は芳しい香りで蝶を誘い、蝶もその身の美しさで花を魅了する。
蜜も罪もぐちゃぐちゃに混ざり合い、蕩けた思考ではどちらが悪いのかなんてわからない。
抗わずに従えばいいのだ。求められたのならば、応じるだけ。
そこにどんな感情があるのだろう。何度も味わったというのに、名前だけがどうしてもわからない。
それでも、愚かな蝶はわかっている。
こんな身が、愛されることはない。この蜜に、愛なんてないのだ。
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