耳が良すぎて目が悪い

2/2
前へ
/266ページ
次へ
絶対音感の持ち主。 おんぼろなジャズ研のBox(サークルの練習室をこう呼んでた)は防音じゃないので、キャンパスの敷地の隅っこに、ロック研と並んで追いやられてた。 バンドの音は世間にダダ漏れ。逆に世間の工事音もダダ漏れだ。 その日はカーンカーンカーンとひときわ煩い。 「絶対音感があるんなら、あの音は何?」 ちょっとイジワルな質問をされた。 でも分かった。ほぼD? ドヤ顔させてもらいました。 20歳くらいのピーク時は、生活音がオノマトペでなくドレミの音階名で耳に届いてたくらい厄介な絶対音感は、情緒なさすぎ。 逆に目は悪い。矯正レンズでも効果ないからメガネっ子ではないけども。 眼科医には見える方の目を大切に、と子どもの頃から言われている。 その大切にすべき目に鉄の粉が入ってしまった。 電車が猛スピードで駆け抜ける線路脇を歩いていたら、運悪く。 洗っても取り除けないんで、ゴロゴロ痛いし、眼科に行った。 「あー、鉄粉だねー。すぐ取ってあげるからねー」 診察台に横たわる。 麻酔の目薬、ポタリ。 目を見開くことを強制され、 眼科医は先が尖ったガラス棒を、私の目の前に突き立てる! 目玉が串刺しになるっ! 「いやぁぁぁぁーーっ!!!」 眼科医は平然と 「こわがりだねー」 と笑う。 いや、怖いって。あんたマッドサイエンティストかよ! 無事串刺しになる事はなく、鉄粉は取れました。 でも医者はドSというトラウマ残りました。 だから私の作品に出てくる医者はドSキャラ。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加