初恋は実らない。

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初めて女の子を好きになったのは、幼稚園の時。それはそれは笑顔の可愛い子だった。 淡い幼稚園の初恋から月日は流れて、俺は高校生になった。幼馴染みの菜乃とさくらとクラスが離れてしまい、これでも一抹の不安を抱えている。 が、教室に入った時、俺は目を見開いた。何故ならそこには、妖精が座っていたからだ。 「馬鹿なの?」 驚きのあまり幼馴染みたちの教室まで駆けつけたら、突然の罵声を受けた。 「たーくんのクラス、妖精さんがいるの?凄いね。出身地どこか訊いてきてよ。」 さくらの暴言は分かるが菜乃まで!?いや、菜乃は基本ふわふわしている。これが本音なのかもしれない。そうだ!そうだと信じよう。 入学式を終えて自己紹介の時、俺は妖精こと、橘朱里さんの名前を知った。 オリエンテーションの時に運良く同じ班になったのだが、彼女はいつもにこにこ笑っていて、気遣いもできる、まさに女神だった。 「妖精さんから女神様?それは随分、昇格したね。」 「橘さんなら、名前は知ってる。可愛いって有名だもの。」 「そうなんだよ!可愛くて可愛くて、俺はもう~っどうしたらいいんだ!」 帰りに幼馴染み三人でたこ焼き屋に寄り道をして、恋愛相談。男とつるむのも楽しいが、こう言う話は幼稚園からの付き合いの奴らでないと心を開放しきれない。 「たーくんはその女神様と仲良しなの?」 「いや…オリエンテーションで同じ班になったくらいで…今は別に。」 「なら先ず、仲良くなることから始めたら?」 「それがさ~、橘さん、いっつも女子とばっかりいるんだよ。」 「たーくん、私たちも女子だよ?」 「お前たちは良いんだよ。性別こえた仲だから。」 「それは、どう捉えたら良いのかしら。」
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