君のせい。

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「うん、いいよ。…達也くん。」 「ヤバッ!ちょっ、それ…いきなりは反則だよ朱里ちゃん!萌え死ぬ!」 (は?何、言ってんだこの馬鹿は。) 思わず、声に出さない声でつっこんだ。 「嫌ならいいけど。」 「全然!全然、嫌じゃないです!」 「あ、そっ。」 「………。」 「………。」 どれくらい抱き合っているのだろう。もうすっかり、陽は沈んでしまった。 「達也くん、萌え死なないで。死なれたら困る。」 「え…うん、気をつける。」 「あと、引っ越ししないで。」 「え!?今更!?それはちょっと難しいと言うか。もう金も払ってるし。」 「何だ。流れで頷くと思ったのに。」 「俺、そこまで馬鹿じゃないよ!?」 「じゃあ、遊びに行ってもいい?」 「もちろん。」 「あと、遊びに来てくれる?」 「来るよ。」 「絶対?」 「絶対。」 「寂しくなったり、泣きたい時は電話してもいい?」 「その時は駆けつけるよ。」 「無理しなくていいよ。」 「俺がそうしたいから、無理じゃないの!」 「ふふっ、変なの。」 いつの間にか涙は止んでいて。彼の腕の中にも、随分長い間お邪魔していて。そして笑っていた。 「朱里ちゃん。」 「何?」 「有り難う。」 「何が?」 「ちゃんと本音でぶつかってきてくれて。」 「うん。」 「それから、俺たちは俺たちのペースでやっていこう。」 「うん。…有り難う。」
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