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「夏祭り、いつだっけ?」
「次の土曜日だよ。さくらちゃん珈琲でいい?」
「うん、有り難う。次の土曜日って…もう明後日じゃない。」
「だから困ってるんでしょ!察して!」
机をバシバシ叩く。
「朱里は『察して』が多すぎ!ちゃんと言葉にしなさい!」
つられて、さくらも机を叩く。
「だって~ぇ。」
「たーくん、待ってると思うけどな~。」
「達也の大学、女子いないしね。遠恋には都合いいじゃない。」
「浮気したら刺す。」
「いや、まだ付き合ってないでしょ。」
机に顎を乗せて、頬を膨らませる。
「明日、帰ってきます。明後日、告白します!…なんて、とんとん、無理だよ。」
「無理じゃないよ?」
菜乃ちゃんが変わらず、あっけらかんとした表情で発する。
「だって学生で、就活があったにしても、三年間待たせてるんだよ?朱里ちゃんが気づいてないだけで、心の方は準備できてると思うんだよね。」
「三年は長いわよ、朱里。」
「………。言われなくても、分かってるもん。」
机に顎をのせたまま眉を下げると、
「それにしても朱里ちゃん、素直になったよねぇ。」
「まだ多少、ひねくれてるけどね。」
「もうっ!何よーっ!他人事だと思って!」
「他人事じゃないよ?二人には上手くいって貰わないと私たちも嫌だよ。」
「私たちも三年間、待たされてるんだからね。」
「………。ラインする。」
「電話じゃないんだね。」
「電話は夜。」
「何であんた達、付き合ってないの?」
「煩いなー、さくらは。」
カタカタカタ
>明後日の夏祭り、一緒に行きたい。
ピコン♪
「レス早っ!」
「たーくんマメだもんね~。」
>行く!
その文字を見た途端、先ほどまでの緊張が嘘のようにとけて、頬がゆるんだ。それを見た二人が微笑む。
「良かったね、朱里ちゃん。」
「頑張って。」
「煩いな~。」
照れ隠しの言葉も通じない。だって顔が「嬉しい」って言っているから。
明日は、駅まで迎えに行こう。
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