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「はい、これ。」
「わー!有り難う!」
私が欲しいと言ったピンクのボールを、達也くんは本当に取ってくれた。
「大事にする。」
思わずほころぶと、突然、その場で達也くんがうずくまった。
「え!?何!?大丈夫!?」
後から聞かされる話だが、この時彼は、
(生きてて良かった。)
と、目頭が熱くなっていたらしい。
「ちょっ、ちょっと!ねぇ!」
背中をさすると、
「悪い。ちょっと幻覚が…。」
「え?何それ?病気なんじゃないの?体調悪いの?」
「いや、大丈夫。俺、たまに見えるんだ。」
「は!?ちょっと!本当に大丈夫!?見えるって何が!?」
「妖精。」
「何それ!?本当にヤバイ病気なんじゃないの!?」
「いや、高校の頃からだから。」
「そんなに昔から!?何で今まで普通に生活してこられたのよ!?」
事態は急を要するように感じるが、本人が大丈夫だと言うので、引き続き祭りを楽しむことになった。
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