48人が本棚に入れています
本棚に追加
「うっ!うっ!……う~。」
「いい加減、泣き止んでよウザイな。」
「だって、まさか。ヒック…まさか朱里ちゃんが…俺、もう正直駄目かと…うぅ~。」
神社のベンチに座って、泣いている達也くんの背中をさする。
「俺。」
「うん?」
「俺も、朱里ちゃんのこと、好きだから。」
「うん。」
「愛しいから。」
「知ってるよ。」
「う…うわーっっ!」
「だから何でそんなに泣くのよ。」
最早、肩を落としていたその時、
「おーい!朱里ちゃーん、たーくーん!」
「菜乃っ!危ない!」
菜乃ちゃん…否、桐山夫妻の到着である。
「結弦くーん、掌擦りむいたぁ。」
「あっちに水道あるから行くぞ。」
「でもでも朱里ちゃん「早く立つ!」
そして、引きずられて行った。
(何だったのかしら。)
「あれ?たっくん、何で泣いてんの?」
「『告白した』って、連絡貰ったから来たんだけど…。」
しかし入れ違いで、奏多くんとさくらがやって来た。
「たっくん、またフラれたの?」
「フラれたんじゃねーよ!六年越しの片想いが実ったんだぞ!少しは泣かせろ!」
「六年!?」
「確かに…数えるとそうなるわね。そう思うと…。」
(凄い。)
と、その場にいた全員が思った。
「『少し』じゃないじゃない。いつまで泣いてんのよ。」
「いつから泣いてるの?」
「花火が終わってから。」
「たっくん…それは直ぐに泣き止まないと、折角実った片想いも粉砕寸前の危機だよ。」
「なっ!?ま!マジか!ちょっ!朱里ちゃん!直ぐに泣き止むから!」
(本音は別に、どうでもいいんだけど…面白いからいいや。)
「あと、十秒~。」
「え゛!マジか!」
「九~、はーち…。」
私が貸したハンカチで、必死に目をおさえている。その姿を微笑ましく思えてしまうのだから、やっぱり私は、いい意味でバカになったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!