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「でも君は僕が知る2年間で神戸が似合う大層な美人になったもんだ」
「そんなこと言ってくれるのマスターだけです」
知恵は少しはにかむように俯き言った。
「島根に返すのが勿体ないよ。神戸市民として」
知恵は神戸での就職を強く願ったが、父親の推薦とする地元企業への就職が半ば強制的に決められていた。
知恵も隠れて神戸・大阪での就職を探していたがこの不況の中運悪く、知恵が希望する企業が見つからなかったのもある。
「神戸に帰れるように縁結びの神様にお願いします。近所だから」
「出雲大社の近くだったんだね」
「車で10分の距離です」
「それは心強いね。神様が身近だと」
「あと8日しか居られないんだ、神戸にも」
溜息混じりに知恵がそう言った。
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