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素直な感情が出てしまうと、また、たかちゃんはクスクスと笑った。
その笑顔を見て、やっぱり私はたかちゃんのことが好きだなって思う。
でも、笑顔を見て安心出来て……愛ちゃんの言うように、私がたかちゃんに抱いている“好き”って感情は、ちょっと違う気がしてしまった。
それはきっと、あの日……相見くんに抱いてしまった初めての感情のせい。
相見くんが他の女の子と話しているのを見て、嫌な気持ちになった。
相見くんに触ってほしくない、なんて自分勝手な感情も抱いてしまった。
私らしくない言動に出ちゃって、必死になっちゃって。
すべてが初めて抱く感情だった。
たかちゃんには感じたことがない感情――。
「うわぁ、美味しい。これ、高級ゼリーだよね?」
病室で早速ゼリーをもらって食べて、びっくりした。
驚くほど美味しかったから。
そんな私をたかちゃんは、頬杖をついて眺めていた。
「そうかもな。それ、大学の教授が持ってきてくれたんだ」
「そうだったんだ……」
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