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だから私にだけ話してくれた。
未来が短いことを――。
それなのに、どうしてたかちゃんはいつも笑っていられるんだろう。
たかちゃんが笑っているなら、私も笑わなくちゃ。
幸せな私を見せなくちゃって思ってきたけど……聞いてもいいかな?
私にだけ話してくれたからこそ、聞いてもいい?
想いは溢れ、尋ねてしまった。
「たかちゃん……」
「ん? どうした、芽衣子」
「たかちゃんは、怖くないの? ……不安じゃない?」
もし、私が自分の立場だったらって考えたら、不安で怖くて仕方ない。
たかちゃんは違うの?
たかちゃんの本音が聞きたくて、ジッと見つめてしまう。
するとたかちゃんは大きく目を見開いた後、困ったように眉尻を下げた。
「そりゃもちろん怖いし、不安だよ。俺に明日が必ず来るって保証はないしな」
そう言うと、たかちゃんは初めて本音を話してくれた。
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