キミがいてくれれば、強くなれる

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そう、だよね。だってたかちゃんと奈々美さんは二十三歳。 たかちゃんだって本当なら大学を卒業して、今は社会人になっていたはずだった。 ふたりは結婚していても、おかしくない。それなのに――……。 たかちゃんと奈々美さんの気持ちを想うと、涙がとめどなく溢れ出す。 奈々美さんは知らない、たかちゃんの余命のことを。 きっと全快することを信じているはず。この先の未来も、ずっと一緒にいられると、信じて疑っていないはず。 「ねぇ、たかちゃん……本当に奈々美さんに話さなくても、いいの?」 やっぱり奈々美さんには、話すべきなんじゃないかな? けれど、たかちゃんは首を横に振った。 「奈々美は、看護士になったばかりで毎日苦労している。……それなのに俺の話をしたら、どうなると思う? あいつなら仕事が手につかなくなると思う。……仕事を辞めてもいいから、俺のそばから離れなくなると思う」 ふたりは幼なじみ。 だからこそ、たかちゃんは分かるんだよね、奈々美さんのことが。 「それに俺が死んだあと、無職だったらあいつ大変だろ? 今が一番学ぶことが多くて大変な時なんだ。仕事に集中させてやりたい。……あいつ、看護士になるのが、昔からの夢だったから」
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