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確かに看護師になるのが、奈々美さんの夢だったと思う。
でもそれはきっと、たかちゃんの存在があったからこそだと思う。
誰よりも一番近くで、たかちゃんのことを支えたかったんじゃないかな?
そう思えてならないよ。
けれどそれを私が言うことじゃない。
たかちゃんが言わないって決めたなら、私は言うべきじゃないよね。
涙を拭っていると、たかちゃんは「ふっ」と笑みを漏らした。
「どうしてここで芽衣子が泣くわけ? 普通は俺が泣いて芽衣子が慰めてくれるところじゃない?」
「ごっ、ごめん……!」
口ではそんなことを言っているくせに、たかちゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。
その手のぬくもりは、幼い頃からずっと変わらなくて、安心できる。
自然と涙も止まってしまうんだ。
「芽衣子が泣いた時の対処法。こうすれば、嘘みたいに泣き止むんだよな、昔から」
「……うん」
そうだった、昔からずっとそうだった。
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