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そこで初めて実感させられていく。
私にとって、たかちゃんは、昔からずっと安心できる存在だった。
この気持ちを恋愛の好きと勘違いしていたのかもしれない
もちろんたかちゃんのことは好きだけど、愛ちゃんの言う通り、恋とは違う“好き”だったんだよ。
たかちゃんの手が心地よくて、次第に落ち着いていき、鼻を啜った。
私が泣き止んだことを確認すると、ゆっくりと大きな手は離れていく。
そしてたかちゃんは、私と向き合った。
「俺はたったひとつだけ後悔を残したまま、死ぬことになると思う。……だからこそ、芽衣子には後悔しない人生を送って欲しい」
「たかちゃん……」
「芽衣子はさ、俺たちの中で一番弱虫だったけど、いつも芽衣子が頑張っている姿を見ると、俺たちも頑張ろうって思えていたんだ。奈々美も雅史もそう。芽衣子の頑張りに、いつも励まされていたよ」
「そんな……」
意外な話に、思わず首を横に振ってしまう。
でもたかちゃんは、“本当だよ”と言うように、真剣な瞳を向けてきた。
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