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「奈々美も雅史もさ、強そうに見えて弱いところがある。でも芽衣子の存在があれば、頑張らないと、前向きにならないとって思うはずだ。……俺がずっとそうだったから」
止まったはずの涙が、再び溢れてしまいそうになるのを、必死に堪えた。
「芽衣子が知らないところで、けっこう励まされてきたんだ。芽衣子だって頑張っている、人見知りで臆病で。……それでもみんなと打ち解けようと頑張っている姿を見せられて、俺も頑張ることができたこと、たくさんあったから」
そんなことない、私じゃないでしょ? それはたかちゃんが強いから……。
けれど涙を堪えるのに必死で、伝えることが出来なかった。
「人は皆、支えて支えられて。知らないところで誰かの励みになって、共に生きていくんだと思う。……その証拠に俺、今すっげ幸せだから。それは芽衣子が幸せそうにしているからだよ。……みんなが幸せそうにしているのを見ると、俺も幸せな気持ちになれるんだ」
必死に訴えかけてくるたかちゃんに、思わず手を握ってしまった。だって――。
「やめて、そんなこと言うの。……そんなこれが最後みたいな話、聞きたくない」
だってさっきからたかちゃんが訴えかけてくるから。
私に対する想いを、感謝の気持ちを。
こんな話、聞きたくないよ。
だってこれからも、こうやって会うことが出来るでしょ?
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