ひとりにしないで

2/4
前へ
/4ページ
次へ
一人暮らし用マンションに備え付けの冷蔵庫まで彼女は歩いた。 アボォカード色の冷蔵庫のドアを開き、12オンス缶のビールを取り出した。 プルリングを左手で引き抜き、乾いた喉に流し込む。 胃の淵に落ちていく液体の心地よさをしばらく味わった。 缶ビールを持ったまま、彼女はダイニング続きの隣の部屋まで歩いて入った。 1DKの都会の中にある典型的なレディースマンションだ。 流行のデザインマンションというだけあって、瀟洒な内装造りが気に入って契約した。 バルコニーへ出る窓には春らしい柄のカーテンが取り付けられている。 サッシの重いガラスを開けて、バルコニーへ彼女は出た。 ガラスを開けると同時に、都会の騒音が聞こえる。 ここは往復6車線の幹線道路のすぐ脇にある。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加