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しばらく二人は無言だった。
風が一陣舞った。
その風を待ってたように奈緒が神田に
「二人になれる所に行こうよ」
と言った。
神田は、無言で奈緒を見詰めていた。
無言の二人の尺を埋めるように、奈緒が神田の腕をひっぱった。
神田はゆっくりと首を横に振った。
奈緒は一瞬キョトンとした表情を見せたが、今度は探るように神田の顔を下から眺めた。
神田は再びゆっくりと首を横に振った。
奈緒はその神田の顔を仰ぎ見るようにしばらく見詰めていた。
そしてスローモーションのように奈緒の表情が崩れて泣き顔になった。
目元からは涙が溢れてきた。
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