やけ酒

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派遣社員の奈緒は定期的に販売場所が変わる。 京都、大阪、神戸の決められた販売所が彼女の職場だった。 職業柄彼女の服装はいつも垢抜けている。 身につけている小物は、27才なのでそう高価なものはいつもつけられないだろうが、彼女が付けるとどれも高価に見えるのは彼女が持つ華のある雰囲気からきているのだろう。 「おつかれさまです」 若いバーテンは、奈緒の前に模範的な泡の配分のビールを置いた。 「ありがと」 奈緒は、ビールを三分の一ほどぐいと飲み、その綺麗に揃った両の眉を少し上げて、バーテンに「美味しい」という表情を作ってみせた。 バーテンもその奈緒の表情に笑顔で答えた。
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