やけ酒

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神田三郎が店に現れたのは、奈緒が先ほど携帯を見てから丁度20分ほど経ってのことだった。 奈緒は、飲み物をジンに替えていた。 「いらっしゃいませ」 バーテンの声に、笑顔だけで神田は答えた。 長身の神田は黒のロングコートが似合っていた。 ストゥールを引いて、神田は奈緒の横に無造作に座った。 「バーボンロック」 神田はバーテンにすぐに言った。 「飲んでたの?」 「うん」 神田は奈緒を見てそういった。 「近くで?」 「運良く」 「お邪魔した?」 「いいや、もう別れたい客だったんだ。奈緒ちゃんの着信で会社から帰れと言われたと別れる理由が出来た。グッドタイミングだった。サンキュー」
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