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ギターを抱いて、爪先で弦を引っ掻く。
空気を震わせ、弦を振るわせて、音はまるで俺の心を代弁してくれるようだ。
難しい技法はこだわっちゃいけねぇ。
不器用な俺でも弾ける音ならなんでもよかった。
広い公園のブロックに腰かけて、気ままに練習曲を弾く。
下手くそな俺の前に足を止めるヤツなんていなかった。
この日までは……。
夕方の影は異様に伸びて、下ばっか見てた俺の手元に影が差した。
ふと見上げると、身を乗り出した少年がニッコリ微笑んで挨拶してきた。
「よ! お前のギター、俺気に入ったわ!」
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