第1章 こうじ one

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路上パフォーマンスするまでに時間はかからなかった。 俺のギターで歌ってくれる奴がいるだけで、自然と指が動く。 一人で弾いていたときよりもずっと、自然に。 あゆむの歌声やリズム・テンポの間合いが俺の紡ぎ出す音とバッチリ相性がよくて、時間を忘れ、ギャラリーの存在を忘れ、俺達はずっと音を奏でた。 女子ウケのするあゆむに中学生や同年代のファンがついて、ライブ毎に聞いてくれる人達が増えていくのは快感だった。 人生でこんなに楽しいと感じられた時間はなかった。 でも、そんなある日。
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