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「分かったような
分からないような……。」
横に90度傾倒していた太郎のクビは
70度位までに回復したものの、
やはり、今後の事がどうしても気になる。
「まあそれは、いいとして……
一体どこへ行くんですか、この店舗は。
目的は一体何なんですか?」
「その件に関しては私から説明するわ」
突如としてバックヤードから現れる女性の影。
掛けたメガネを片手で直しながら歩くその姿は、
デキる女のステレオタイプだ。
「は…花子さん?」
「フッ。」
花子と呼ばれた女性は太郎を鼻で笑う。
「そう呼ばれていた頃もあったわね……。」
花子はガラス張りの外に広がる星空を遠い目で眺めたかと思うと、
にわかに振り返り声を張り上げた。
「私はキャシー!
キャサリン・花子・ペンドルトンよ。」
「はぁ」
気のない返事をする太郎。
茶番には付き合いきれない、と言った態度で花子に事の詳細を伺う。
「で、何を教えてくれるんですか、花子さん。」
次の瞬間、花子の背後から繰り出されたキャット・オ・ナインテイルは、
唸りをあげて太郎の手の甲を襲った。
乾いた音と小気味よい悲鳴が店内にこだまする。
怯えた目で花子を見上げる太郎。
「アナタには教育が必要そうね。」
それとは対象的に花……キャシーは
嗜虐的な笑みを太郎に向けていた。
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