コンビニエンス

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「良かったな、無能太郎。」 しゃがみこんだ店長は太郎の肩を抱いて言った。 華奢な太郎の肩に屈強な店長の手が重くのしかかる。 「何がどういいんですかね、これ。」 事の重大さを理解していない太郎に 店長は眉をひそめ耳打ちをする。 「いいか? 彼女は根っからのアダナーだ。 もし彼女にあだ名を任せようものなら、寿限無を遥かに凌ぐ長さになるんだ。」 「はぁ。」 「それがタダの無能太郎で済んだんだぞ? これが喜ばずにいられるか?」 店長の興奮した口調に、給与改定を控えた太郎は納得せずにはいられなかった。 「それは……、 なんだかラッキーな気がしてきました!」 聞き耳を立てていたキャシーがレジカウンターをスラッピングして下僕の気を引く。 「……続けるぞ、タダの無能太郎!」 ーー気に入ったんだな。
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