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それは昼時のコンビニの繁忙期。
他の店員がバックヤードで検品をする中、
昼食を求めた客どもは、発売日にゲームハードを求めるがごとく
長蛇の列を作っていた。
ーーもう無理だな。
太郎は途切れぬ客足に、捌ききれないレジ打ちを諦め
レジカウンターの内側にある他の店員を呼ぶボタンに手を伸ばした。
ーーん?
ボタンを押そうとするその指先に、太郎は違和感を感じた。
何やらボタンの上までせり出す角ばった物体の感触。
今まで何度も押してきたハズのボタンだったが、
こんな感触ははじめてだ。
気になった太郎は客の目を気にしつつも覗き見ると、
そのボタンの脇には新しいボタンが増設されていたのだ。
「なんだろうな、これ」
そのボタンはエレベーターに設置されるエマージェンシーコールのように
プラスチックのカバーで覆われていながら、
もとよりあるボタンの横にピッタリとくっつけて設置されていた。
それ故にボタンの位置を探る太郎の指に触れたのだ。
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