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近くのレストラン。
バカだから、『割り勘ないよね?』って本気で心配した。
一応、1番安いのを注文した。
「今、『モデル』やってるんだね。綺麗になったね」
弘輝さんはあまり変わってない。
「うん。…自活始めたの。…まだ駆け出しだから、家賃とか電熱公費でいっぱいいっぱい。…早く仕事がガンガン来るといいけど、そんな上手くいかないよ。現実は厳しいの」
「独り暮らし始めたの?」
「そう。弘輝さんはまだあのマンションに居るの?」
「……前にさ、俺の兄貴の嫁さんの話したよね?」
「『沙也加』さんだよね。……まだ続いてるんだ?」
「………いや。あの後に、本当に好きだったのは香織ちゃんだったと気づいて、わかんないように引っ越しした……傷つけて、本当にごめん」
「……もう、過去!過去だからいい!」
お人好しは変わってないみたい。なんか笑ってしまった。
「………今は彼氏できたの?」
「彼氏よりお金が欲しい!!…本当に生活かかると恋愛なんか、どうでもいい!」
強がりかな?…でも、本当にそう思いたかった。
「……良かったら、やり直さないか?」
むせた。吹き出しそうになった。
「ゴホッ!ゴホッ!…それは、今更、……嫌」
「ちゃんと責任、今度こそ取らせて欲しい!」
出た。天然責任取り!!
「責任ねえ、じゃあ、食費下さいな」
冗談のつもりだった。
忘れてた。この人、全部本気にする人だって。
「今、10万しかないけど、いい?」
「は?」
本当に財布から10万出して私に渡した。
いや!バカ!本気にするな!
「冗談!!冗談だから、本気にしないでよ!」
「これくらいさせてよ……何もできないまま、責任取れないままだったから……受け取って!」
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